未綴じ本VS仮綴じ本

再び未製本の本について
[未綴じ本(日本語)]バラバラの折り帖の集まり
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この本はルリユールするために未綴じの状態の本(抜き刷り)を著者の方からお預かりしているものです。

[仮綴じ本]
糸で簡単に2カ所が中綴じされています。
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[表紙オモテ]やや厚めの紙の表紙がついています。
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Paul Eluard et Max Ernsut:Les Malheurs des Immortels
10部A−J(番号記載)マダガスカル紙に印刷 50部I−L(番号記載) マレ紙に印刷 1300部はベルジェ紙に印刷(1〜1300番)、500部はピンク色ヴェラン紙(1301〜1800番)Henri Pariso,1945 Edition de la Revue Fontaine
こちらはパリのニケーズ(Nicaise )でシュール・レアリズム特集をやっていた時に、ついフラフラとなって購入したものです。ピンク色の紙ですが、番号の明記はないので出版社用の番外のものです。
Librairie Nicaise
145 boulevard Saint Germain 75006 Paris
Tel : 01.43.26.62.38
記事が掲載)http://www.opto.fr/portfolio/librairie-nicaise

これらは未綴じ、仮綴じの差はありますがいずれも未製本の状態の本です。


# by atelieralde | 2009-09-01 22:57 | 未綴じ本VS仮綴じ本

『マッピー』用ボーダー

ロング・ステッチの製本 2010年

One-day bookbinding 講座に「ロング・ステッチかがりの製本」を追加しました。
これは表紙と中身の本をダイレクトにかがる製本で、簡易製本のヴァリエーションの一つとして気軽に革製本を楽しむことができます。
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この製本は、通常の製本のように、綿(麻)テープや平革、麻紐のような「縢りのサポートとなるもの」を芯として縢るのではなく、前もって表紙にスリットやかがりの穴を開けておき、表紙に直接本紙をかがりつけることで組み立てられています。「表紙に直接かがりつける製本」とでも呼ぶことができるでしょう。
書物史研究者によると、印刷術の発展とともに製本の簡素化が進み、書物が普及してきた17世紀頃にいろいろな簡易製本が考案された内の一つだということです。私はこの製本はKeith Smithさんが考案した簡易製本のうちの一つかと思っていたのですが、どうやら歴史的な製本であったようです。
Non-Adhesive Binding Books without Paste or Glue by Keith A. Smith

簡易製本というとリンプ・ヴェラム装のことが思い浮かびます。これは羊皮紙(パーチメント)やヴェラムを表紙の素材として用いる製本ですが、やはり17世紀頃(16世紀末)から作られるようになったことを考えれば、当時いろいろなタイプの簡易製本が試みられたということでしょう。
製本の構造からすると「縢りのサポート」はある方が安定するし、また、よりしっかりと本紙を縢ることができますが、製本の手間はその分余分にかかるわけで、速度の点から見ると「ロング・ステッチ」縢りの製本にも利点があります。
なお、技術的な側面から見ると、「かがりのサポート」の役割も果たす表紙素材はしなやかさが必要なので革が適しているようです。

-"Long-stitch" bookbinding,
-reliure à couture longue comme on dit

# by atelieralde | 2009-08-30 01:34 | 製本Workshop

『マッピー』用ボーダー

ヘルベチカの本とDVD

『Helvetica: Homage to a Typeface』
ラース・ミューラー著
Lars Mueller Publishers

『ヘルベチカ ~世界を魅了する書 』[DVD]
角川エンタテインメント
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ヘルベチカDVDをやっと見終える。ヘルベチカが「スイス書体」を意味しているということさえ知らなかったのだが、インタビュー集で構成されているDVDはとても面白かった。
ここに登場しているのは相当有名なデザイナーばかりなのだろうが、私が名前を知っている人はほとんどいなかったのである、が。でもオランダ人の若いデザイナーが「ヘルベチカは僕たちにとってはマザー・タングのようなものだ」と語っていたのが印象に残った。すごく昔にオランダに行った時には非常に覚えにくいオランダ語の駅名(SとかJとかやたら多い)を一瞬でも覚えるのに全ての集中力を費やし、書体が何かということなど気にも留めることはできなかった。今思うと残念な気がする。
しかし書体にも「グランジ」なスタイルがあったとは。15年ほど遅れてNIrvanaにはまって回りの頭を痛くさせてる私としては深く頷いてしまったのだった。

# by atelieralde | 2009-08-27 20:32

『マッピー』用ボーダー

チェコの本

生徒さんのこの本は、表紙に穴を開けて本の表紙のイラストをシルエットにして見せるといる趣向のもの。表紙の穴の処理に大変苦労したけれど、その甲斐あってとても面白い装丁に仕上がったと思う。
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この本は表紙から察するに騎士の話なのか古めかしい感じで、本文にもゴシック風の書体が使われている。

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彼女は絵本関係の仕事をしているのでチェコに行く機会が多く、その度におっ!いいなあという本を入手してくる。というか、チェコの本は雰囲気があってどこか愛らしい感じだ。紙も良いし活版印刷もとても美しい。アクセント記号の "∨"みたいなのが目に突き刺さる感じがするのを別にすれば、すごく良質な本作りがされているように思う。これは常識なのだろうか?今までチェコの本には絵本以外接する機会がなかったのでまったく無知なのだけれど、何度見てもいいなあという気になるのだった。
もう1冊。この本もどこか素朴で可愛い。
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この本の表紙に使った紙はThe Writing Shopのイタリアだったかドイツの作家(失念しましたー’’)のオリジナル・マーブルペーパー。マーブル紙は普通このように全面には使いづらいものだけど、このマーブル紙は無理なく収まってしまう。
このお店の紙は海外の作家への注文制作によるものだそう。だからマーブル紙、ペーストペーパーなど1点1点がすべて少しずつ違っていて自分の好みのニュアンスの紙を選ぶことができる。
活版印刷と紙をこよなく愛する店主のマダムとの会話はスリリングで楽しく、ついついいつも時間を忘れてしまう。こんなジメジメした天気が続くとあの滑舌の良い辛口の熱さが無性になつかしい。京都に早く行きたい〜。

# by atelieralde | 2009-07-21 02:13 | ルリユールと本

『マッピー』用ボーダー

やんごとなき読者(未綴じ本)のルリユール(1)

アラン・ベネット著、白水社刊の「やんごとなき読者」を、出版社の御厚意により東京製本倶楽部を通していただくことができました。
(書誌情報)
アラン・ベネット著/市川 恵里訳 
やんごとなき読者
白水社2009

今年も教室では「やんごとなき読者」のルリユールを開始しています。

「未綴じ本」とは製本される前の本で、このような形をしています。
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ハードカバーに製本された後に表紙に被せられるカバーと折り帖からなっていて、折り帖は地にミシン目が入っただけで切り離されていない状態のものです。
広げるとこんなふうです。

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通常は製本される際に本のノドはカットされ背部分で糊で接着されるので、このような折り帖の形で本を手に入れることはできません。つまり、折り帖を糸綴じして本の形にするという製本方法(ルリユール)は不可能なのですが、今回は製本に最適な形での本を提供してくださいました。手製本の本がないといつも嘆いているわたしたちにとって、未製本の本が手に入ることほど有り難いことはありません。市川さんと東京製本倶楽部の方々のご配慮に感謝!です。
教室でも数冊まとめていただき、みなさん各様の製本でルリユールを始めています。和紙で溝付き製本を構想している人、総革にトライする人などさまざまで、みんなの本が出来上がるのが今から大変楽しみです。同じ本をさまざまにルリユールして一堂に展示するということは、ルリユール教室を開いている私にとっても最高の楽しみの一つでわくわくしています。(続く)

# by atelieralde | 2009-07-11 04:34 | やんごとなき読者:未綴じ本

『マッピー』用ボーダー