アンカットの未綴じ本ー和書と洋書の違い

ほんとにしつこいのですが、また未綴じ・仮綴じ本の続きです。なかなか話しが終えられず、いつになったら「やんごとなき読者」(未綴じ本)のルリユールにもどれるのか。
今日は洋本と和本におけるアンカットの位置の違いについて。
和書:地がアンカット(袋状)なのに対し、 洋書 : 天がアンカット(袋状)になっています。

[アンカットー洋本]
本の天(上部)がアンカットで袋状になっています。
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Rainer Maria Rilke :Die Weise von Liebe und Tod des Cornets Otto Rilke
Alice Gertud und Rudolf Bosch-Gwalter
300 部 ハンネミューラー紙 75gm , Hoepli-Stiftung Zürich ,1998
これはスイス人の出版関係者からいただいた本で、その年のヨーロッパ・タイポグラフィー大賞に輝いたという本で、活版印刷が本当に美しい本です。ハンネミューラーのレイド紙の少しざらついた紙にくっきりと細い書体で印刷されいます。レイド紙も(ちゃんと縦目に用いられていて)、ページが柔らかく開き、さすが!としか言いようがない素晴らしい本作りがされています。ドイツ語が読めず詳細情報がわからないのが残念です。この本の紹介は次回に回すとして先を続けます。

[アンカットー日本語の本]
未綴じアンカットとして紹介したのと同じ本です。地(下部)がアンカットで、天、前小口とも未裁断の状態のものなので揃っていません。
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洋書と和書で、天アンカットと地アンカットのように異なっているのはいったい何故なのか?
左から右へ横書きするアルファベットと、右から左へ縦書きする日本語の違いで面付けの習慣が違うのだろうかと考えたりしました。なぜ日本では天をアンカット(天袋、head fold)にして面付けしないのだろうか?天を基本ラインとする造本設計がされるのは洋書の習慣にすぎないのか?
そもそも日本語のアンカットの本は通常目にすることもないので、このような和・洋のアンカットの位置の違いを不思議に思うことも普通はないです。洋書にはアンカットの本は頻繁にとはいえませんがそこそこは存在しており、こちらは割となじんでいるということもあり、ついつい洋書を基準に考えてしまうわけです。なぜ日本語の本は「地」がアンカットなのか???と。
この怪は文庫本をふと見た時から始まりました。なんでなのかなーといぶかりつつも、わからないことがこれ以上増えるのは避けたいので考えないようにしつつ、しかしいつも気になっていたかもしれません。10年間も答えが見つけられずかなり気持ち悪かったのは事実です。
下はその文庫本です。古い文庫本なので天が揃っていなくてギザギザです。
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「天は揃っていなくてはならない」と、製本学校ではほとんど掟のごとく教え込まれましたが、これはいったいどういうわけなのか?天の保護、埃除けのために天金もほどこされるというのに、この本は天が揃っていなくて地が揃っている、だから天は埃汚れでとても汚くなっています。
疑問はここから始まりました。

- livre borochure/tranche, tête

# by atelieralde | 2009-09-02 01:08 | 和書VS洋書

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未綴じ本VS仮綴じ本

再び未製本の本について
[未綴じ本(日本語)]バラバラの折り帖の集まり
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この本はルリユールするために未綴じの状態の本(抜き刷り)を著者の方からお預かりしているものです。

[仮綴じ本]
糸で簡単に2カ所が中綴じされています。
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[表紙オモテ]やや厚めの紙の表紙がついています。
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Paul Eluard et Max Ernsut:Les Malheurs des Immortels
10部A−J(番号記載)マダガスカル紙に印刷 50部I−L(番号記載) マレ紙に印刷 1300部はベルジェ紙に印刷(1〜1300番)、500部はピンク色ヴェラン紙(1301〜1800番)Henri Pariso,1945 Edition de la Revue Fontaine
こちらはパリのニケーズ(Nicaise )でシュール・レアリズム特集をやっていた時に、ついフラフラとなって購入したものです。ピンク色の紙ですが、番号の明記はないので出版社用の番外のものです。
Librairie Nicaise
145 boulevard Saint Germain 75006 Paris
Tel : 01.43.26.62.38
記事が掲載)http://www.opto.fr/portfolio/librairie-nicaise

これらは未綴じ、仮綴じの差はありますがいずれも未製本の状態の本です。


# by atelieralde | 2009-09-01 22:57 | 未綴じ本VS仮綴じ本

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ロング・ステッチの製本 2010年

One-day bookbinding 講座に「ロング・ステッチかがりの製本」を追加しました。
これは表紙と中身の本をダイレクトにかがる製本で、簡易製本のヴァリエーションの一つとして気軽に革製本を楽しむことができます。
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この製本は、通常の製本のように、綿(麻)テープや平革、麻紐のような「縢りのサポートとなるもの」を芯として縢るのではなく、前もって表紙にスリットやかがりの穴を開けておき、表紙に直接本紙をかがりつけることで組み立てられています。「表紙に直接かがりつける製本」とでも呼ぶことができるでしょう。
書物史研究者によると、印刷術の発展とともに製本の簡素化が進み、書物が普及してきた17世紀頃にいろいろな簡易製本が考案された内の一つだということです。私はこの製本はKeith Smithさんが考案した簡易製本のうちの一つかと思っていたのですが、どうやら歴史的な製本であったようです。
Non-Adhesive Binding Books without Paste or Glue by Keith A. Smith

簡易製本というとリンプ・ヴェラム装のことが思い浮かびます。これは羊皮紙(パーチメント)やヴェラムを表紙の素材として用いる製本ですが、やはり17世紀頃(16世紀末)から作られるようになったことを考えれば、当時いろいろなタイプの簡易製本が試みられたということでしょう。
製本の構造からすると「縢りのサポート」はある方が安定するし、また、よりしっかりと本紙を縢ることができますが、製本の手間はその分余分にかかるわけで、速度の点から見ると「ロング・ステッチ」縢りの製本にも利点があります。
なお、技術的な側面から見ると、「かがりのサポート」の役割も果たす表紙素材はしなやかさが必要なので革が適しているようです。

-"Long-stitch" bookbinding,
-reliure à couture longue comme on dit

# by atelieralde | 2009-08-30 01:34 | 製本Workshop

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ヘルベチカの本とDVD

『Helvetica: Homage to a Typeface』
ラース・ミューラー著
Lars Mueller Publishers

『ヘルベチカ ~世界を魅了する書 』[DVD]
角川エンタテインメント
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ヘルベチカDVDをやっと見終える。ヘルベチカが「スイス書体」を意味しているということさえ知らなかったのだが、インタビュー集で構成されているDVDはとても面白かった。
ここに登場しているのは相当有名なデザイナーばかりなのだろうが、私が名前を知っている人はほとんどいなかったのである、が。でもオランダ人の若いデザイナーが「ヘルベチカは僕たちにとってはマザー・タングのようなものだ」と語っていたのが印象に残った。すごく昔にオランダに行った時には非常に覚えにくいオランダ語の駅名(SとかJとかやたら多い)を一瞬でも覚えるのに全ての集中力を費やし、書体が何かということなど気にも留めることはできなかった。今思うと残念な気がする。
しかし書体にも「グランジ」なスタイルがあったとは。15年ほど遅れてNIrvanaにはまって回りの頭を痛くさせてる私としては深く頷いてしまったのだった。

# by atelieralde | 2009-08-27 20:32

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チェコの本

生徒さんのこの本は、表紙に穴を開けて本の表紙のイラストをシルエットにして見せるといる趣向のもの。表紙の穴の処理に大変苦労したけれど、その甲斐あってとても面白い装丁に仕上がったと思う。
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この本は表紙から察するに騎士の話なのか古めかしい感じで、本文にもゴシック風の書体が使われている。

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彼女は絵本関係の仕事をしているのでチェコに行く機会が多く、その度におっ!いいなあという本を入手してくる。というか、チェコの本は雰囲気があってどこか愛らしい感じだ。紙も良いし活版印刷もとても美しい。アクセント記号の "∨"みたいなのが目に突き刺さる感じがするのを別にすれば、すごく良質な本作りがされているように思う。これは常識なのだろうか?今までチェコの本には絵本以外接する機会がなかったのでまったく無知なのだけれど、何度見てもいいなあという気になるのだった。
もう1冊。この本もどこか素朴で可愛い。
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この本の表紙に使った紙はThe Writing Shopのイタリアだったかドイツの作家(失念しましたー’’)のオリジナル・マーブルペーパー。マーブル紙は普通このように全面には使いづらいものだけど、このマーブル紙は無理なく収まってしまう。
このお店の紙は海外の作家への注文制作によるものだそう。だからマーブル紙、ペーストペーパーなど1点1点がすべて少しずつ違っていて自分の好みのニュアンスの紙を選ぶことができる。
活版印刷と紙をこよなく愛する店主のマダムとの会話はスリリングで楽しく、ついついいつも時間を忘れてしまう。こんなジメジメした天気が続くとあの滑舌の良い辛口の熱さが無性になつかしい。京都に早く行きたい〜。

# by atelieralde | 2009-07-21 02:13 | ルリユールと本

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