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ロング・ステッチの製本 2010年

One-day bookbinding 講座に「ロング・ステッチかがりの製本」を追加しました。
これは表紙と中身の本をダイレクトにかがる製本で、簡易製本のヴァリエーションの一つとして気軽に革製本を楽しむことができます。
ロング・ステッチの製本 2010年_a0125575_1321286.jpg

この製本は、通常の製本のように、綿(麻)テープや平革、麻紐のような「縢りのサポートとなるもの」を芯として縢るのではなく、前もって表紙にスリットやかがりの穴を開けておき、表紙に直接本紙をかがりつけることで組み立てられています。「表紙に直接かがりつける製本」とでも呼ぶことができるでしょう。
書物史研究者によると、印刷術の発展とともに製本の簡素化が進み、書物が普及してきた17世紀頃にいろいろな簡易製本が考案された内の一つだということです。私はこの製本はKeith Smithさんが考案した簡易製本のうちの一つかと思っていたのですが、どうやら歴史的な製本であったようです。
Non-Adhesive Binding Books without Paste or Glue by Keith A. Smith

簡易製本というとリンプ・ヴェラム装のことが思い浮かびます。これは羊皮紙(パーチメント)やヴェラムを表紙の素材として用いる製本ですが、やはり17世紀頃(16世紀末)から作られるようになったことを考えれば、当時いろいろなタイプの簡易製本が試みられたということでしょう。
製本の構造からすると「縢りのサポート」はある方が安定するし、また、よりしっかりと本紙を縢ることができますが、製本の手間はその分余分にかかるわけで、速度の点から見ると「ロング・ステッチ」縢りの製本にも利点があります。
なお、技術的な側面から見ると、「かがりのサポート」の役割も果たす表紙素材はしなやかさが必要なので革が適しているようです。

-"Long-stitch" bookbinding,
-reliure à couture longue comme on dit
by atelieralde | 2009-08-30 01:34 | 製本Workshop

本を巡る:ルリユール工房の日々


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