アンカットの未綴じ本ー和書と洋書の違い
2009年 09月 02日
ほんとにしつこいのですが、また未綴じ・仮綴じ本の続きです。なかなか話しが終えられず、いつになったら「やんごとなき読者」(未綴じ本)のルリユールにもどれるのか。
今日は洋本と和本におけるアンカットの位置の違いについて。
和書:地がアンカット(袋状)なのに対し、 洋書 : 天がアンカット(袋状)になっています。
[アンカットー洋本]
本の天(上部)がアンカットで袋状になっています。
Rainer Maria Rilke :Die Weise von Liebe und Tod des Cornets Otto Rilke
Alice Gertud und Rudolf Bosch-Gwalter
300 部 ハンネミューラー紙 75gm , Hoepli-Stiftung Zürich ,1998
これはスイス人の出版関係者からいただいた本で、その年のヨーロッパ・タイポグラフィー大賞に輝いたという本で、活版印刷が本当に美しい本です。ハンネミューラーのレイド紙の少しざらついた紙にくっきりと細い書体で印刷されいます。レイド紙も(ちゃんと縦目に用いられていて)、ページが柔らかく開き、さすが!としか言いようがない素晴らしい本作りがされています。ドイツ語が読めず詳細情報がわからないのが残念です。この本の紹介は次回に回すとして先を続けます。
[アンカットー日本語の本]
未綴じアンカットとして紹介したのと同じ本です。地(下部)がアンカットで、天、前小口とも未裁断の状態のものなので揃っていません。
洋書と和書で、天アンカットと地アンカットのように異なっているのはいったい何故なのか?
左から右へ横書きするアルファベットと、右から左へ縦書きする日本語の違いで面付けの習慣が違うのだろうかと考えたりしました。なぜ日本では天をアンカット(天袋、head fold)にして面付けしないのだろうか?天を基本ラインとする造本設計がされるのは洋書の習慣にすぎないのか?
そもそも日本語のアンカットの本は通常目にすることもないので、このような和・洋のアンカットの位置の違いを不思議に思うことも普通はないです。洋書にはアンカットの本は頻繁にとはいえませんがそこそこは存在しており、こちらは割となじんでいるということもあり、ついつい洋書を基準に考えてしまうわけです。なぜ日本語の本は「地」がアンカットなのか???と。
この怪は文庫本をふと見た時から始まりました。なんでなのかなーといぶかりつつも、わからないことがこれ以上増えるのは避けたいので考えないようにしつつ、しかしいつも気になっていたかもしれません。10年間も答えが見つけられずかなり気持ち悪かったのは事実です。
下はその文庫本です。古い文庫本なので天が揃っていなくてギザギザです。
「天は揃っていなくてはならない」と、製本学校ではほとんど掟のごとく教え込まれましたが、これはいったいどういうわけなのか?天の保護、埃除けのために天金もほどこされるというのに、この本は天が揃っていなくて地が揃っている、だから天は埃汚れでとても汚くなっています。
疑問はここから始まりました。
- livre borochure/tranche, tête
今日は洋本と和本におけるアンカットの位置の違いについて。
和書:地がアンカット(袋状)なのに対し、 洋書 : 天がアンカット(袋状)になっています。
[アンカットー洋本]
本の天(上部)がアンカットで袋状になっています。
Rainer Maria Rilke :Die Weise von Liebe und Tod des Cornets Otto Rilke
Alice Gertud und Rudolf Bosch-Gwalter
300 部 ハンネミューラー紙 75gm , Hoepli-Stiftung Zürich ,1998
これはスイス人の出版関係者からいただいた本で、その年のヨーロッパ・タイポグラフィー大賞に輝いたという本で、活版印刷が本当に美しい本です。ハンネミューラーのレイド紙の少しざらついた紙にくっきりと細い書体で印刷されいます。レイド紙も(ちゃんと縦目に用いられていて)、ページが柔らかく開き、さすが!としか言いようがない素晴らしい本作りがされています。ドイツ語が読めず詳細情報がわからないのが残念です。この本の紹介は次回に回すとして先を続けます。
[アンカットー日本語の本]
未綴じアンカットとして紹介したのと同じ本です。地(下部)がアンカットで、天、前小口とも未裁断の状態のものなので揃っていません。
洋書と和書で、天アンカットと地アンカットのように異なっているのはいったい何故なのか?
左から右へ横書きするアルファベットと、右から左へ縦書きする日本語の違いで面付けの習慣が違うのだろうかと考えたりしました。なぜ日本では天をアンカット(天袋、head fold)にして面付けしないのだろうか?天を基本ラインとする造本設計がされるのは洋書の習慣にすぎないのか?
そもそも日本語のアンカットの本は通常目にすることもないので、このような和・洋のアンカットの位置の違いを不思議に思うことも普通はないです。洋書にはアンカットの本は頻繁にとはいえませんがそこそこは存在しており、こちらは割となじんでいるということもあり、ついつい洋書を基準に考えてしまうわけです。なぜ日本語の本は「地」がアンカットなのか???と。
この怪は文庫本をふと見た時から始まりました。なんでなのかなーといぶかりつつも、わからないことがこれ以上増えるのは避けたいので考えないようにしつつ、しかしいつも気になっていたかもしれません。10年間も答えが見つけられずかなり気持ち悪かったのは事実です。
下はその文庫本です。古い文庫本なので天が揃っていなくてギザギザです。
「天は揃っていなくてはならない」と、製本学校ではほとんど掟のごとく教え込まれましたが、これはいったいどういうわけなのか?天の保護、埃除けのために天金もほどこされるというのに、この本は天が揃っていなくて地が揃っている、だから天は埃汚れでとても汚くなっています。
疑問はここから始まりました。
- livre borochure/tranche, tête
by atelieralde
| 2009-09-02 01:08
| 和書VS洋書